職場でコーヒー会はじめました (デロンギ マグニフィカS導入)

こんにちは、とある通信会社の委託でネットワークの監視・保守をやっている作業員です(エンジニアじゃないよ)。 今回は職場にコーヒーメーカーを買って飲みものを共同購入する営みを始めた話をします。 夜勤を含む24時間体制で監視業務を行っている特殊な職場の事例ではありますが参考になれば幸いです。


「缶コーヒー代って結構バカにならないよね−」
それは同僚の何気ないひとことから始まりました。

職場の休憩室に設置されている自販機は缶が110円・ペットボトルが140円で売られています。110円の缶コーヒーを1日1本飲むと月平均2,200円となかなかの金額になる上に、夜勤時の冷え込む時間には暖かいジョージア紅茶花伝が飲みたくなるものですが夏場は「つめた〜い」飲みものしかないなどの不満がありました。そんなとき同僚の一言から「じゃあ自前で用意するか」と "コーヒー会" をスタートさせました。

というわけで達成すべき目的は2つ:

  1. 缶コーヒーよりもリーズナブルにコーヒーを飲めるようにすること(同僚の主目的)
  2. 監視ルームですぐ淹れられるようになること(私の主目的、詳しくは後述)

設備構築&会費検討

いきなりコーヒーメーカーを買うのは無理があるので、まずはスロースタートということでインスタントコーヒーから始めることに。とりあえず電気ポットやカップスタンド、カップホルダー、ディスペンサー、小物入れなどを自腹で買いそろえました。

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山佳化成 ワンタッチシュガーポット

山佳化成 ワンタッチシュガーポット

  • メディア: ホーム&キッチン

バスケット: ニトリネット【公式】 家具・インテリア通販

さらに家でホコリを被っていた Nestle ネスカフェバリスタ も引っこ抜いてきて休憩室の自担当冷蔵庫脇に設置。ちなみにワイヤーラックも購入。

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昼間は休憩室にあるネスカフェバリスタを使ってもらい、夜勤時は上記のバスケットを監視ルーム(一応飲食禁止)に持ち込んで電気ポットですぐインスタントコーヒーが飲めるようにする目論見です。

次に会費の検討です。試算したところ1杯15円ランニングコストがかかることがわかりました。

項目 単価 購入品
インスタントコーヒー 6.4円 AGF マキシム 135g 429円 ヨーカドーセール
ノンカロリー甘味料 2.6円 シュガーカット顆粒ゼロ 1kg 2619円
クリーミーパウダー 2.1円 ネスレ ブライト 400g×2袋 549円
紙コップ 7oz 3.0円 日本デキシー 紙コップ205ml 50個入 149円
マドラー 0.9円 木製コーヒーマドラー 200本入 184円
合計 15.0円 -

日勤時には1杯/日・夜勤時には2杯/泊で月15杯飲むのをモデルケースとし225円/人・月。この試算から会費を500円/月とし、出た利益から立て替えた初期投資分(1.5万円)をペイしていくことにしました。

ピッチャー型電気ポット is 神

今年の6月、監視業務に従事している夜勤メンバーに声をかけたところ10人の希望者が集まりコーヒー会が運用がスタートしました。

実際に運用してみると電気ポットが予想以上に便利で捗りました。休憩室は監視ルームからやや遠いうえに静脈認証ドアを通らないといけないため移動コストが高かったのですが、電気ポットを置いたことで思い立ったらすぐ熱々のコーヒーが飲めると大好評でした。

象印 沸とう電気ポット 1.0L CH-DT10-XJ ステンレスブラウン

象印 沸とう電気ポット 1.0L CH-DT10-XJ ステンレスブラウン

  • 発売日: 2006/12/01
  • メディア: ホーム&キッチン

ちなみに一般的な電気ポットでもなく電気ケトルでもなく、なぜピッチャーの形をした電気ポットを買ったというと、

  • 電気ポットを置くと他担当から「なにそんなの持ち込んでるの?」とクレームが入る恐れがあるが、ピッチャー形なら「お冷や入れです!!」とごまかせそう
  • 電気ポット・電気ケトルは消費電力が1.5kWと高くブレーカーが飛ぶ恐れがあったが、この製品は沸くのは遅いが430Wと低いので安心
  • 一般的な電気ケトルは沸かすだけだが、この製品は保温機能があるのでいつでもお湯が出る

などの理由がありました。要するに電気ポットと電気ケトルをいいとこどりな製品だったんです。実際その狙いは大いに当たりました。

なお、もしもの時の設備影響・感電を防止するために漏電保護タップを取り付けてあります。

一方で想定が外れたのがネスカフェバリスタが全く使われなかったこと。最初は物珍しさにしばしば使われていたのですが、1ヶ月もしないうちに全く稼働しなくなりいつのまにかインスタントコーヒーが湿気って固まっていました。まあ身も蓋もない言い方をすればただのインスタントコーヒー溶かし機なので、ふつうにポットでお湯を注いでかき混ぜたほうが早くて楽なんです。

インスタントコーヒーディスペンサーを導入したことで瓶をあけてスプーンで規定量を測る手間が無くなり、傾ければ1杯分の粉が出てくる便利さもバリスタ離れに一役買ったような気がします。

というわけで、なんとかアンバサダーを検討しているみなさん。あれただのプリンタインク商法でどんどん損してくので止めた方がいいですよ。

ライバル、本格ミル挽きコーヒー出現

お財布の負荷は減り、いつでも暖かいコーヒーが飲めると喜んでいた矢先、突如ライバルが出現します。休憩室に本格ミル挽きコーヒーのカップ自販機(トーヨーペンディング アドマイヤ)が導入されたのです。

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1杯180〜280円と強気の価格設定でしたが、実際飲んでみるととても美味い。くやしい…でも買っちゃう…!! この刺客により再び我々の財布は厳しくなっていきました。アンケートを取ったところ「会費を上げてもいいので、もっとおいしいのコーヒーを飲みたい」という意見が多かったため、初期の「コーヒー代をとにかく安く」というポリシーを「美味しいコーヒーを安く」に改め、我々も対抗して本格ミル挽きコーヒーに参入することにしました。

コーヒーメーカーは デロンギ マグニフィカ S ECAM23120BN を迷わず選定。というのもコーヒー殻を捨てる行程を含めたフルオートで現実的な価格という条件だとデロンギくらいしか見つかりませんでした。またこのモデルはエントリーモデルに無い「カフェ・ジャポーネ」という蒸らし行程を入れドリップコーヒー風のテイストが味わえるモードが用意されているのがポイントでした。一方でさらに上位のモデルなら全自動でカフェラテやカプチーノが作れるのですが、牛乳の管理など衛生上の課題が拭えないことから見送りました。スチームノズルが付いてるので、やる気があれば自分でミルクフォームが作れますしね。

またアンケートで「コーヒーが飲めないので、緑茶や紅茶があるとうれしい」という意見を何人かからもらったのでティーバッグをラインナップに加えることにしました。

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ファミレスのドリンクバーを再現したく、無印商品でアクリル製引き出し を買ってきて、ティーバッグの化粧箱を切り抜いてペタペタ。かなりそれっぽくなったんでしょうか?

また紙コップが小さい・すぐ冷めてしまうという意見があったことから、大容量で断熱性に優れるフタつき紙コップに変更。

これらの変更によりコストが63円/杯に跳ね上がり 948円/月・人に。このことから会費を1,000円/月に値上げ。会員数10名で毎月の利益が520円。今回追加投資した10万円の回収に約16年かかる計算です。その前に確実に異動すると思います。(多分に個人的趣味と野望が入っているので端から回収しようとは思っていません。黒字であればいいです)

項目 単価 購入品
コーヒー豆(15g) 38.0円 KALDI スペシャブレンド 200g 507円
ノンカロリー甘味料 2.6円 シュガーカット顆粒ゼロ 1kg 2619円
クリーミーパウダー 2.1円 ネスレ ブライト 400g×2袋 549円
紙コップ 14oz 12.6円 サンナップ 厚紙カップ 400ml 50個入 486円
紙コップ フタ 7.0円 サンナップ 厚紙カップ用フタ 100個入 224円
マドラー 0.9円 木製コーヒーマドラー 200本入 184円
合計 63.2円 -

コーヒー会ここに完成

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コーヒー会発足から半年。ついに思い描いていた完成形に達することができました。挽き立てのコーヒー豆から淹れたエスプレッソは本当に美味しく、さらに追加投資してキャラメルソースやチョコレートソースと買って職場内カフェを作りたい欲望まで出てきました。

緑茶や紅茶も少しグレードの高いものを選定したためかこれまた美味い。真夜中のひもじい時に飲む香ばしい玄米茶は身体に染みます。紅茶の華やかな香りもリラックスにとても最適。

飲みもののクオリティがあがったことで、休憩のクオリティが上がり、ひいては業務のパフォーマンスや職場生活品質の向上が図れればと思います。

コーヒー会ポータルサイト

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最後に技術っぽい話を。

会員からお金をもらって運営するという性質上、金や物の流れを透明化したいモチベーションからポータルサイトを作りました。ベタに Excel で管理しても良かったのですが、会社外で閲覧・編集ができない(かといって社内では Dropbox などのストレージや、Office 365 や Google スプレッドシート などのオンラインアプリは遮断されており利用できず)のでフレームワークの勉強も兼ねてWebサイトにしました。

私が借りているレンタルサーバーでは RubyPython がまともに動かないので実質 PHP 一択。CakePHP あたりが有名ですが、Google トレンドを見ると Laravel が近年圧倒的人気なようだったので選定。

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会員の管理や会費の納付状況、全体の財政状況、消耗品のストック状況などを管理・閲覧できるようにしています。

図らずもユーザーの登録・認証、データベースから在庫情報を取ってきたり更新したりとWebアプリケーションの基本的エッセンスが多く含まれており学習課題としてかなり優秀なんじゃないでしょうかこれ。

なおラインナップの紹介やコーヒー会の概要など部外者に見られてもよい情報は認証無し、内部情報を伴うページはユーザー認証有りとしました。ユーザー登録は部外者にされては困るので会社のメールアドレスのみを許容し、そのメールアドレスに書かれた認証ページを踏まないと登録が完了しないようにしました。まあ普通ですね。

ちなみに今回使った Laravel ですが、バージョンが 0.1 違うだけでクラスの構成やメソッド名、CLIコマンド等が大きく異なりリファレンスが役に立たないし、互換性も低い。さらにフルスタックWAFにしては機能が足りておらず、上記のメール認証も自前で書く必要がありました。フレームワークとは何だったのか…。たしかに作りは今風ですが、発展途上でプロダクションで使うには時期尚早だなと感じました。そしてなにより動作がもっさり。おとなしく CakePHP で作れば良かった…。


勉強会などでイケてるIT企業におじゃまするたび、休憩室にドリンクバーがあったり、社内カフェがあったり、バランスボールや畳があったりと憧れの的でしたが、それが自分の会社でも少しではありますが達成できたのです。

プール金マイナス11万に少し青ざめたりもしたけれど、野望が叶って私は満足です。コーヒーおいしいです。^q^


余談:お紅茶

これまで紅茶の種類なんて意識したことが無かったのですが、今回を機にちょっとダージリンとアッサムを飲み比べてみました。

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左がダージリン、右がアッサム。抽出のスピードから色まで全然違います。アッサムは全体的に味が濃く穀物茶のようなテイスト。ダージリンは華やかな香りと透き通ってまっすぐな渋み・えぐみがあります。個人的にはダージリンの方が紅茶のイメージ通りな香りと味で好きです。

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しかしミルクを入れると方向性が全く変わります。ダージリンはミルクに負けてなんだかパっとしない味になりますが、一方でアッサムは香りや渋みが引き立ってミルクとよく馴染んでいます。ミルクティーにするなら圧倒的にアッサムですね。

こんな違うもんなんですねー。


追記: まさかの完済

はじめてから1年半、ついに完全黒字化を達成!

当初は回収できないと思っていましたが、エスプレッソメーカー導入によりメンバーが一気に30人増え(コンビニでドリップコーヒー買ってた勢が大幅に流入)、さらにコーヒー通から安くて美味いコーヒー豆を教えてもらいコストダウンが図れたことが黒字幅増大につながりました。それにしても、見返すと図らずも スロースタート → 多額投資で品質アップ → 顧客満足度向上 → 会員数・収益アップ というスタートアップのサクセスストーリーになってますね。興味深い。

さてこれからは溜まったお金でかき氷器でも買いましょうかね。